In this article
エンタープライズアプリケーションセキュリティ
エンタープライズ規模でアプリケーションを保護
デジタル化が進む今日、企業は業務の効率化や競争力の強化のために、ソフトウェアアプリケーションへの依存をますます深めています。しかし、サイバー脅威やセキュリティの脆弱性が増加する中、アプリケーションのセキュリティ確保は世界中の企業にとって大きな課題となっています。
業務管理に複雑なアプリケーションを利用する機会が増えるにつれ、潜在的な脅威からアプリケーションを保護する必要性も高まっています。エンタープライズアプリケーションセキュリティとは、セキュリティ上の脅威やデータ侵害、その他の脆弱性からアプリケーションを守るために、組織が講じる対策です。
以下の内容をご紹介します。
エンタープライズアプリケーションセキュリティとは?
エンタープライズアプリケーションセキュリティとは、悪意ある行為や攻撃の可能性からエンタープライズアプリケーションを保護するために導入される対策やプロセスを指します。
対象となるアプリケーションには、サプライチェーン管理システム、顧客関係管理(CRM)システム、エンタープライズリソースプランニング(ERP)システムなど、組織が業務プロセスを支えるために使用するあらゆるソフトウェアやシステムが含まれます。
エンタープライズアプリケーションセキュリティを実現するには、潜在的な脆弱性を特定し、それに伴うリスクを軽減する戦略を導入する必要があります。たとえば、アクセス制御の導入、ユーザーアクティビティの監視、ファイアウォールの展開、暗号化、アプリケーションの潜在的な弱点を見つけるためのテストなどが挙げられます。
エンタープライズアプリケーションセキュリティの目的は、セキュリティ侵害やデータ損失、不正アクセスからアプリケーションを保護することです。こうした事態は、組織に金銭的損失や法的責任、評判の低下をもたらす可能性があります。
エンタープライズアプリケーションセキュリティと従来のアプリケーションセキュリティ(AppSec)の違い
エンタープライズと従来のアプリケーションセキュリティ(AppSec)は、どちらも潜在的なセキュリティ上の脅威や攻撃からアプリケーションを保護するために欠かせません。ただし、両者には大きな違いがあります。
まず、エンタープライズアプリケーションはアーキテクチャがより複雑で、構成要素や相互接続されたシステムが多いため、セキュリティの確保が困難です。また、エンタープライズAppSecでは、より高度なセキュリティおよびコンプライアンスのガバナンス、課題の優先順位付け、そしてエンタープライズレベルへのセキュリティの拡張が必要になります。
従来のAppSecは個々のアプリケーションに焦点を当て、コード解析やペネトレーションテスト、脆弱性スキャンなどの手法を用います。このアプローチは、アプリケーション内の具体的なセキュリティ問題の特定と対処に効果的です。
一方、エンタープライズアプリケーションセキュリティは、組織が保有するアプリケーション全体を保護する、より広範なアプローチを取ります。個々のアプリケーションだけでなく、それらが動作するプラットフォームやフレームワーク、インフラストラクチャも対象です。
もう1つの重要な違いは、従来のAppSecが通常、インシデントの発生後に脆弱性を特定して対処するリアクティブな手法である点です。一方、エンタープライズアプリケーションセキュリティでは、シフトレフト、リスクに基づく脆弱性管理と修正の優先順位付け、DevSecOpsを組み合わせ、インシデントの発生前に防ぐプロアクティブなアプローチを取ります。
従来のAppSecだけでは、組織のアプリケーション全体を保護するには不十分です。エンタープライズアプリケーションセキュリティは、アプリケーション保護により包括的なアプローチを提供し、組織全体のリスクプロファイルの低減に役立ちます。
エンタープライズAppSecが直面する5つの課題
エンタープライズアプリケーションセキュリティには、プロジェクトの編成、セキュリティとコンプライアンスのガバナンス、課題の優先順位付け、そしてエンタープライズ(グローバル)規模へのセキュリティの拡張など、さまざまな課題があります。
ライフサイクル全体の保護:エンタープライズアプリケーションは通常複雑で、構築、テスト、デプロイに多大なリソースを必要とします。そのため、セキュリティ要件やテスト、デプロイを含むプロジェクト計画を策定し、セキュリティリスクを適切に管理して、アプリケーションをライフサイクル全体を通して安全に保つことが重要です。
セキュリティとコンプライアンスのガバナンス:エンタープライズアプリケーションは複数の規制やコンプライアンス要件への準拠が求められることが多く、強固なガバナンスフレームワークが必要です。
課題の優先順位付け:エンタープライズアプリケーションでは、いつでも多数のセキュリティ上の問題が発生する可能性があります。問題の深刻度や影響、発生可能性に基づいて優先順位を付ける必要があります。しかし、関係者によって優先事項が異なるため、問題の優先順位付けは容易ではありません。効果的な問題の優先順位付けには、リスクベースのアプローチが必要です。組織や顧客に及ぼす潜在的な影響に基づいて、問題をランク付けします。
エンタープライズレベルへのセキュリティの拡張:エンタープライズアプリケーションは複雑化、大規模化するため、セキュリティリスクを効果的に管理することがより困難になります。セキュリティを拡張するには、人材、プロセス、テクノロジーを包括する総合的なアプローチが必要です。
エンタープライズアプリケーションセキュリティは複雑であり、幅広いアプローチが求められます。こうした課題に加え、ツールの品質や開発者の導入といった従来のAppSecの課題にも対処することで、組織はセキュリティ侵害のリスクを軽減し、エンタープライズアプリケーションの安全性と規制要件への準拠を確保できます。
エンタープライズアプリケーションセキュリティの6つのベストプラクティス
エンタープライズアプリケーションセキュリティのベストプラクティスを6つご紹介します。これらを実践することで、アプリケーションの脆弱性リスクを軽減し、エンタープライズアプリケーション全体のセキュリティを高めることができます。
実施する:アプリケーションのリスクプロファイリング:すべてのアプリケーションを対象に徹底的なリスク評価を実施し、対処が必要な脆弱性やリスクを特定して優先順位を付けます。
提供する:開発者向けセキュリティ教育:開発者を教育し、設計から開発、デプロイまで、SDLCの各段階でセキュリティのベストプラクティスを実践できるよう促します。
確立する:Security Championsプログラム:開発チーム内にSecurity Championsのグループを設け、セキュリティ意識とベストプラクティスの普及を推進します。このグループは、セキュリティチームと開発者をつなぐ役割も担います。
推進する:開発者による導入 とセキュリティツールの活用:セキュリティツールを開発ワークフローに組み込み、セキュリティテストを自動化するとともに、開発の初期段階からアプリケーションにセキュリティを組み込みます。
DevSecOpsを取り入れる:DevSecOpsの原則を採用し、計画からデプロイまで開発プロセス全体にセキュリティを組み込みます。そのためには、早い段階からセキュリティチームが関与し、開発、運用、セキュリティの各チームがセキュリティに共同で責任を持つ必要があります。
確立する:AppSecポリシーを策定し、アプリケーションのセキュアなコーディング、デプロイ、設定に関するポリシーを徹底します。暗号化、認証、アクセス制御、セキュアコーディングの実践に関する要件などを含めることができます。

エンタープライズAppSecのツールとテクノロジーの例4選
エンタープライズアプリケーションセキュリティツールは、機密情報の保護とセキュリティ侵害の防止に欠かせません。エンタープライズアプリケーションセキュリティでは、ツールやソリューションを組み合わせるとともに、教育やセキュアコーディング、アプリケーション設計のベストプラクティスを重視する必要があります。
SAST(静的アプリケーションセキュリティテスト):静的解析ツールはソースコードを分析し、潜在的なセキュリティ脆弱性を特定します。SQLインジェクション、クロスサイトスクリプティング(XSS)、バッファオーバーフローなどの問題を検出できます。
SCA(ソフトウェア構成分析):SCAツールは、アプリケーションで使用されているサードパーティ製またはオープンソースのコンポーネントに含まれる脆弱性を特定します。既知のエクスプロイトやサードパーティ製ライブラリの脆弱性に対して、ソフトウェアが無防備な状態になっていないかを確認できます。
DAST(動的アプリケーションセキュリティテスト):DASTツールは、実行中のアプリケーションを評価し、攻撃をシミュレートして脆弱性を特定します。インジェクションの欠陥、認証や認可の問題、セッション管理の問題を検出できます。
ASPM(アプリケーションセキュリティポスチャ管理):ASPMツールは、さまざまなアプリケーションセキュリティツールのデータを集約し、他のツールで発見された脆弱性の可視性とコンテキストを高めます。これにより、リスクに基づく優先順位付けと修正が可能になります。
ビジネスにとって最も重要なものを守る
SnykがどのようにAppSecチームを支援し、Snyk AppRisk ASPMで最新のAppSecプログラムの構築、管理、拡張を実現するのかをご覧ください
エンタープライズアプリケーションセキュリティのユースケース2選
サイバー脅威がますます高度化する中、機密データを保護し、事業継続性を確保するために、エンタープライズアプリケーションに強固なセキュリティ対策を導入することが不可欠です。
ユースケース1:アプリケーション開発プロセス全体のセキュリティ
Nateraは、無細胞DNA検査と患者への予防的治療を通じて、世界の医療に変革をもたらしています。同社の検査は医療分野で大きく進歩している一方、アプリケーションセキュリティの可視性と自動化には課題がありました。
課題:
Nateraが直面していた課題の1つは、オープンソースの脆弱性によりセキュリティ対応が手作業でのボトルネックになっていたことです。Nateraは、ソフトウェア開発ライフサイクル(SDLC)全体でアプリケーションセキュリティと品質保証を自動化する、新たなセキュリティプラクティスを求めていました。
ソリューション:
ワークフローの早い段階で脆弱性を検出するSASTソリューションのSnyk Code。
エンジニアリングワークフローにセキュリティをシームレスに統合する、JetBrains IntelliJ IDE向けのSnykプラグイン。
開発者が脆弱性をすぐに修正できるよう支援するSnyk Container。
Nateraのセキュリティエンジニアリング担当ディレクター、Charlotte Townsley氏は次のように語ります。「セキュリティを、誰もがパートナーとして、また自分たちを支えるものとして捉えてほしいと思っています……ライフサイクルの早い段階から取り組むことが、まさにそれを実現します。そこで、まずIDEに導入し、リポジトリと連携させています。依存関係の脆弱性を取り巻くコンテキストを把握できるため、情報に基づいた意思決定が可能になります。」
現在NateraはSnykを活用し、コードのコンプライアンスを確保し、ソフトウェアの品質を向上させるとともに、インフラストラクチャ全体を可視化しています。
NateraとSnykの詳細については、お客様事例の全文をご覧ください。
ユースケース2:AppSecの実践を簡素化し、改善する
Australia Postは、オーストラリア最大の輸送・物流組織です。全国1,240万か所以上への郵便配達を担っています。また、銀行や銃器関連の申請における本人確認をはじめ、さまざまなサービスも提供しています。
課題:
200人を超える開発者と大規模なコードベースを抱えるAustralia Postは、潜在的なコードの脆弱性をより明確に把握する必要がありました。
ソリューション:
同社はSnyk Open Sourceを導入し、開発者が脆弱性を修正するために必要なコンテキスト情報を提供しました。使いやすく、シームレスに統合できるツールだったため、開発チームへの導入もスムーズに進み、スキャン範囲の拡大と新規・既存の脆弱性の削減につながりました。
セキュリティチームは開発チームと直接連携し、開発ワークフローにセキュリティを組み込みました。成功の指標は、新たな脆弱性の減少とその経時的な傾向、そして開発チームのエンゲージメントです。
Australia Postのサイバー防御マネージャーであるEvan Taylor氏は、「開発者のワークフローへの影響はできる限り小さくしたいので、Snykをシームレスに統合できることは非常に重要でした。Snykが提供する活用しやすいデータは、セキュリティ成熟度の向上を後押ししてくれます」と語ります。
現在、Australia Postでは、開発からテストにマージされる重大な脆弱性が、過去6か月間で84%減少しました。オープンソースの依存関係とコンテナのセキュリティスキャン導入が成功したことを受け、同社は現在、Snyk Codeの展開とSnyk Infrastructure as Codeの評価を進め、最新のアプリケーション技術スタック全体の包括的なセキュリティを実現しようとしています。
Australia PostとSnykの詳細については、お客様事例の全文をご覧ください。
エンタープライズアプリケーションセキュリティにおけるSnykの活用方法
Snykは、開発者向けの包括的なセキュリティプラットフォームです。SnykはIDE、CI/CDパイプライン、バージョン管理システムなど、さまざまな開発ツールと連携し、開発者にシームレスなセキュリティ体験を提供します。
Snykのソリューションを活用すれば、開発者は開発プロセスの早い段階でセキュリティ上の問題を特定して修正でき、エンタープライズレベルでもアプリケーションの脆弱性リスクを低減できます。Snykは、安全なアプリケーションの構築に役立つ、次のような幅広いセキュリティソリューションを提供しています。
SnykのAppSecソリューションについて詳しく知るか、ライブデモを予約して、Snykの機能をご確認ください。