In this article
アジャイルSDLC:メリットと導入方法
アジャイル手法では、ソフトウェア開発を加速するため、短期的で的を絞ったタスクと、意思決定者による頻繁な進捗確認を重視します。開発者、プロジェクトマネージャー、エンドユーザーなど、あらゆる関係者が各段階で足並みをそろえることで、大規模な反復を避け、開発チームがフィードバックに柔軟に対応できるようにします。
アジャイル手法をソフトウェア開発ライフサイクル(SDLC)に取り入れると、開発は反復的なフェーズに分かれ、ユーザーから継続的にフィードバックを得られます。多くの組織がアジャイルSDLCを導入するのは、より迅速で柔軟な開発によって市場の変化に対応するためです。
チームメンバー間のコミュニケーションと迅速な意思決定は、アジャイルの基本原則です。セキュリティ担当者よりもエンジニアや運用担当者のほうが多いため、開発者のスキルを活用すれば、アジャイルSDLCにおけるセキュリティ修正を迅速化できます。
セキュリティチームのメンバーは、プロジェクトの推進役となり、開発チーム全体にアプリケーションセキュリティを浸透させます。このような体制づくりとセキュリティツールの導入により、AppSecをアジャイルSDLCに組み込み、DevSecOpsによるソフトウェアデリバリーを実現できます。
アジャイルSDLCにAppSecを組み合わせると、開発の後回しにせず、開発プロセスの一部としてセキュリティ対策を講じられるため、より安全なコードを開発できます。アジャイルのメリットを詳しく見る前に、ソフトウェア開発がウォーターフォール手法からアジャイル開発へ移行している理由を確認しましょう。
開発におけるウォーターフォール手法の活用方法
2010年代にアジャイルの考え方が広まるまでは、ウォーターフォールが開発チームの従来型モデルでした。ウォーターフォールでは、重複しない所定の段階に沿って開発を進め、ある工程の成果物を次の工程の入力として使用します。要件定義、分析、設計、コーディングの各段階を終えてから製品をテストするため、プロセス全体を通して次に行うべきことが明確になります。テスト段階では、評価を通じてデバッグと不具合の発見を行います。
プロジェクトの期間が短く、要件が明確に定義されている場合、ウォーターフォール手法は効果的です。しかし多くの場合、市場の急激な変化や製品要件の変更に対応するため、組織はウォーターフォールから、変化の速い市場に追随できる手法へと移行する必要があります。
ウォーターフォールからアジャイル開発へ移行するメリット
ウォーターフォールでは、設計からコーディングまで効率よく開発を進め、速やかにテスト段階へ移行できます。しかし、製品テストでエラーが見つかると、修正のために設計段階まで戻らなければなりません。こうした大規模な反復には時間がかかり、プロジェクトの遅延につながる可能性があります。また、ウォーターフォールでは、開発チームがプロセスのかなり早い段階でセキュリティチームの設計したセキュリティ機能を実装するため、セキュアSDLCの有効性が損なわれるおそれがあります。
アジャイルSDLCでは、開発サイクルのできるだけ早い段階から、セキュリティを含むソフトウェアテストを組み込むという基本原則、テストのシフトレフトを推進します。これにより、コーディング中にセキュリティ脆弱性を検出できます。
開発の早い段階でテストを行うことに加えて、アジャイルに移行する開発チームには、ほかにも多くのメリットがあります。
ソフトウェア開発へのセキュリティ導入を簡単かつ効率的に
アジャイルSDLCを導入する最大のメリットは、開発、運用、セキュリティを連携させる(DevSecOps)ことで、セキュアSDLC(SSDLC)も実現できることです。開発チームと運用チームはDevOpsのアプローチで連携することが多い一方、コード作成時にセキュリティを取り入れることが不可欠になっています。
セキュリティを簡単かつ効率的にし、全体にわたる統合を実現する効果的な方法は、複数のアジャイルSDLCフェーズを通じてアジャイルDevSecOpsの実践を大規模に展開することです。各スプリントで関係者によるレビュー前にセキュリティを組み込み、セキュリティ対策が施されたソフトウェアの各部分を顧客に承認してもらいましょう。
アジャイルSSDLCにおけるセキュリティチャンピオン
アジャイルSDLCでセキュリティの視点を確実に取り入れるには、組織でセキュリティチャンピオンプログラムを構築できます。セキュリティチャンピオンは、セキュリティチームを代表する開発者として、開発に関するあらゆる話し合いにセキュリティの視点をもたらします。これにより、1人のセキュリティ担当者が多数の開発者を支援し、アプリケーションセキュリティを組織全体に広げられます。
SDLCの早期段階で脅威モデリングを導入
脅威モデリングでは、システムの設計やシステム境界を越えるデータの流れを調査し、潜在的なリスクを評価します。攻撃対象となり得るすべての箇所を特定し、各脆弱性を緩和する解決策を設計します。しかし、脅威モデリングは時間がかかる複雑な作業と見なされ、SDLCを遅らせることがあります。
アジャイルSDLCは反復的な性質を持つため、脅威モデリングの導入に適しています。各スプリントの工程に脅威モデリングを組み込むことで、分析の規模と複雑さを抑え、潜在的な攻撃シナリオを検討するチームメンバーの負担を軽減できます。スプリント中に脆弱性を特定することは、セキュリティのシフトレフトにも欠かせません。
アジャイルSDLCにおけるセキュリティの課題
アジャイルは急速に変化する環境におけるSDLCに最適ですが、プロジェクト全体を適切に導く体制がなければ、セキュリティ面での課題も生じます。主な課題は次の2つです。
アジャイルSDLCの急速な変化は、レガシー技術やプロセスに負担をかけます。
多くのレガシーセキュリティツールやプロセスは、SDLC全体にわたる統合を想定して設計されていません。
アジャイルSDLCの導入方法
ソフトウェア開発にアジャイルアプローチを取り入れることには多くのメリットがありますが、導入にあたってはベストプラクティスを確認しておくとよいでしょう。
アジャイルの基本原則は、チームメンバー間のコミュニケーションと変化への柔軟な対応であり、多くの場合、迅速な意思決定につながります。そのため、この開発スタイルとペースを実現できるよう、チームの環境を整え、組織のアプローチを見直す必要があるかもしれません。迅速な意思決定が重要となるため、チームリーダーは短時間のミーティングを頻繁に行い、誰が何をいつまでに行うのかを明確にしましょう。ミーティングの頻度を増やすことで、チームメンバーが一人で解決しようと苦労するのではなく、問題解決のために気軽に相談できるオープンな文化も育まれます。
アジャイルを導入するもう1つの方法は、意思決定者から定期的にフィードバックを得る場を設けることです。ソフトウェア開発のスケジュールに基づき、顧客やスポンサーの判断が必要となる時期を大まかに定め、関係する意思決定者全員との定例会議をあらかじめ予定に入れておけば、プロセスを迅速化できます。
最後に、継続的なセキュリティ対策を取り入れながら、開発チームが最も効果的なツールを選べるようにしましょう。たとえば、Snykを活用すれば、ソフトウェアデリバリーを遅らせることなく、潜在的なセキュリティ脆弱性を発見して修正できます。
アジャイルSDLCに関するよくある質問
SDLCにアジャイルアプローチを取り入れるメリットは何ですか?
アジャイルSDLCでは、開発の全プロセスを通じて関係者間の連携を促し、テストとセキュリティのシフトレフトを推進します。最終的には、セキュアなコード開発を加速するDevSecOpsの実現につながります。ソフトウェア開発プロセス全体にセキュリティを組み込むことで、脆弱性の混入からコードを保護しながら、市場の変化に対応できるスピードを維持できます。
セキュアソフトウェア開発ライフサイクルのページで、セキュアSDLCについて、またアジャイルSDLCでのセキュリティ確保にSnykがどのように役立つかをご覧ください。